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デヴィッド・バーン×スパイク・リー「アメリカン・ユートピア」を見た

デヴィッド・バーン×スパイク・リー「アメリカン・ユートピア」を見た
By Yasukuni Notomi • Issue #73 • View online
行ってきました、「アメリカン・ユートピア」。これが映画館で公開されたことを喜びたいと思うのです。なんて楽しく、面白く、カッコ良く、馬鹿馬鹿しく、楽しく、歴史的なショー。初めてトーキング・ヘッズを聴いた14歳の時から44年。その時間はちゃんと過ぎていたなあと思える幸せ。ニューウェーブであることの矜持と、そこからどれだけ遠くまで来たのかの認識の上で演じられるロック。映画館で見てねー。

 スパイク・リー監督の「デヴィッド・バーンズ・アメリカン・ユートピア」見た。かつて、中学生だった俺は、まだ日本盤が出てなくて、博多のタワーレコードで買ったトーキング・ヘッズの1stに夢中になって、モア・ソングスなんて今でも時々聴き返したりもしてるくらい好きで、でも高校生の俺にはリメイン・イン・ライトが曲はカッコいいと思いながら受け入れられなくて、それでもデヴィッド・バーンはずっと気になって聴いてて、やっぱりカッコいい曲書くしカッコいいギター弾くなあと思いつつ、20代の俺は、彼の身も蓋もなさとか臆面のなさがどうにも気に入らなくて何だかなあと思ってたのだった。しかしまあ、この映画は、その身も蓋もなさや臆面のなさがあってこその達成で、だからデヴィッド・バーンにしか出来なかった仕事だしショーなのだった。こうなるともうカッコいいっ!と言うしか無いw しかもそれをやっぱり身も蓋もなくて臆面のないスパイク・リーが見事な職人芸で撮る。恐ろしいタッグもあったもんだけど、この二人だったから、こんなアメリカ文化史私感みたいなショーが世界的に盛り上がれるエンターテインメントになったのだと思う。
 そして思うのは、同じポストパンクの時代を生きてきたんだなあということ。舞台のムードがものすごくケラのミュージカル「Don’t trust over 30」に似てたのは偶然ではないと思うし、Ajicoの新曲が同じようなメッセージだったりするのも、三体がアメリカでヒットしたのも同じ流れの中にあると思う。
 そういう事を考える一方で、やっぱりデヴィッド・バーンがギター持つと上がるし、ギタリストのアンジー・スワンのあくまでもファンクではないロックなギターに「おおっ」ってなる。アフリカンビートを敢えて抑えてファンクなギターを弾いていたリメインインライトから40年経って、今回は様々な世界中の音楽のビートに乗せてロックなギターを聴かせるアレンジなのだ。泣ける。
 フルワイヤレス(スピーカーはどこにあったんだろう)の上に、みんなが歩き回れるようにという演出と、様々なパーカッションを重層的に重ねるドラムセット不要の演奏がガッチリ噛み合ってて、そして「歩く」が大きくフィーチャーされてて、マーチングバンドからラストの自転車へと繋がる流れがまた良いのだった。ザッパほどあからさまには政治的にならず、しかし選挙には行けよオラっていうメッセージだけはくどいくらい繰り返して、何かを否定するのではなく、歴史と現状を歌って、ちゃんとギャグを散りばめて、変わんなきゃねと自虐も含めて語る時だけちょっと照れるあざとさも含めて、なんて素敵なショーなんだろう。特に振り付け考えたアニー・B・パーソンは天才だな。
 帰りのバスの中で、リメインインライトとアメリカンユートピアを聴き比べたら、ちゃんとリメインインライトの方がダサくて、でもリメインインライトの方が照れが見えて、おっさんになるんだったら、こんなふうにズブく、躊躇なくおっさんになるベキなんだよなあと思って、ふとバスの窓の外を見たら、バス乗り間違えてたw
映画『アメリカン・ユートピア』公式サイト
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Yasukuni Notomi

AllAbout、日経トレンディ、朝日新聞、夕刊フジなどに連載中。オウンドメディア、片岡義男.com、その他諸々、あちこちで書いています。マツコの知らない世界、嵐にしやがれ、モニタリング他、テレビやラジオ出演も色々。そこからはみ出したネタや、愛用品、目立たないけど凄い新製品、うまいコーヒーやお茶や酒、浮世絵や歌舞伎や芝居、音楽、ミステリにホラーにSFなどなど、面白いものを随時、紹介しますので、読んでもらえると話のネタ、記事のネタになるかも。メールアドレスを登録すると、最新記事がHTMLメールで届くので、ちょっと面白いです。

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