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浮世絵をうる・つくる・みる -紀伊国屋三谷家コレクション-@日比谷図書文化館

浮世絵をうる・つくる・みる -紀伊国屋三谷家コレクション-@日比谷図書文化館
By Yasukuni Notomi • Issue #76 • View online
日比谷図書文化館で開催中の「浮世絵をうる・つくる・みる 紀伊国屋三谷家コレクション」に行ってきました。これは、浮世絵好きとメディア好き、印刷物好きはとても盛り上がる展示でした。大きな美術館の浮世絵展では見られない、三代豊国の役者絵の名品や、国芳一門の名品が、恐ろしいほどの保存状態の良さで楽しめます。そして、「つくる」側の貴重な資料。いやあ、楽しかった。

 日比谷図書文化館で開催中の「浮世絵をうる・つくる・みる 紀伊国屋三谷家コレクション」を見た。なんといっても、実際、浮世絵製作のスポンサーもやっていた千代田区の商家のコレクションだから、いわゆるアートのコレクターや美術館のコレクションとは方向性がかなり違う。メディアとしての浮世絵を、国貞の三代豊国時代と国芳一門の作品を中心にたっぷり持ってるのだ。だから、かなり初見の作品があって嬉しかった。そして、どれも驚くほど状態が良い。最近刷った?と思うくらいの、なんだかピカピカ過ぎてありがたみが薄いくらい発色が良くシワも紙の端のヨレも無い。
 展示は「うる」コーナーには絵草紙屋の再現セットや、三代豊国のおなじみ、絵草紙屋の様子を美人画的に描いたあれとかを展示。セットがよくできてた。で「つくる」コーナーは道具や板木などの展示と、多分、この展示の最大の見ものである、紀伊国屋三谷家八代目当主長三郎による書き込みがある画稿。今で言う、スポンサーチェックが入ったゲラだ。浮世絵がメディアであり、あれだけの手間を掛けて量産するには、当然パトロンやスポンサーが要る訳で、江戸時代でも、金を出せば口も出すのだ。なんとなく、浮世絵は版元と絵師がチェックして作っていると思っていたけど、そりゃスポンサーチェックは入るよね。色を付けない、墨のみのゲラに、長三郎がトレペみたいな薄紙を貼って服装の変更の指示をしてたり、生え際を細く白髪でと指示を書き込んだりしていて、かなり細かくチェックが入っている。当時の校正用語っぽい意味の分からない言い回しの書き込みもあったりしてホント面白い。クライアントチェックが「えー?誰も文章を直してくれとは言ってないよー」というようなものがあるのは、もう伝統だと思い知るw
 作品数が最も多いのは、「みる」のコーナー。三代豊国による、もう構図から色合いまでブロマイドとしか言いようのない、恵比寿屋庄七が版元の役者絵のシリーズとか、三代目菊五郎が蛇の腹を割って登場するシーンを早替わりのもう一役の菊五郎と合わせて描いた国芳の作品、既に亡くなっていた四世歌右衛門を幽霊役で描き込んだ三代豊国の作品など、紀伊国屋三谷家の歌舞伎大好きっぷりがうかがえるコレクションが並ぶ。ホント、人物というか物語の中の人物画がお好みだったようで、役者絵、美人画、物語絵に良いものが沢山あった。初見で大好きになったのが、芳虎の「時参不斗狐嫁入見図」。タイトル通り、丑の刻参りに来た女性が狐の嫁入を目撃している絵なのだけど、その女性の姿と、無闇に豪華な狐の嫁入の大行列の対比が面白すぎるw あと、芳年の「月百姿」のシリーズから美人画だけを並べる趣向がなんだか良かったなあ。戯画もちょっとあった。
 で、前期後期の作品全点をカラーで収録した144ページ、A4版の図録が税込800円。木版多色刷り体験コーナーもある。やけにおいしそうなケーキのあるカフェも併設で、外は日比谷公園。入場料は300円。19日までだから急げ!
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Yasukuni Notomi

AllAbout、日経トレンディ、朝日新聞、夕刊フジなどに連載中。オウンドメディア、片岡義男.com、その他諸々、あちこちで書いています。マツコの知らない世界、嵐にしやがれ、モニタリング他、テレビやラジオ出演も色々。そこからはみ出したネタや、愛用品、目立たないけど凄い新製品、うまいコーヒーやお茶や酒、浮世絵や歌舞伎や芝居、音楽、ミステリにホラーにSFなどなど、面白いものを随時、紹介しますので、読んでもらえると話のネタ、記事のネタになるかも。メールアドレスを登録すると、最新記事がHTMLメールで届くので、ちょっと面白いです。

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