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日本はデフレからどう脱却すべきか【永井俊哉ニューズレター】

平成の不動産バブルが崩壊して以降、日本経済は長期にわたって低迷していると同時に、低インフレあるいはデフレの状態にも陥っています。このプレゼンテーションでは、そもそもデフレはなぜ望ましくないのか、その理由を説明した後、これまでの日本のリフレ政策を検証しつつ、物価が上昇する以上に国民の所得が増える良いインフレを実現するには、何をすべきかを論じます。(注意:一時間を超える長編動画です。)

日本はデフレからどう脱却すべきか
日本はデフレからどう脱却すべきか
前回の「現代貨幣理論と令和の政策ピボット」に関する質疑応答
安部和正:MMTなんて単なる理論の一つでしょ。それを正解のように言う輩は単なるぺてん師。オウム真理教の麻原と同じだよね。MMTにはノーベル経済学賞受賞の経済学者クルーグマン、元財務長官のサマーズ、FRBのパウエル議長、著名投資家のバフェットらがこぞって批判。日銀の黒田総裁も否定的なコメントを出している。MMT論者は政府にたかるさもしい輩でしょ。
永井俊哉:ビデオの中で指摘したように、MMTはいろいろな理論をまとめたパッケージです。パッケージ全体を頭ごなしに否定するのではなく、一つ一つ、何が正しくて、何が間違いであるかを見極めようとする態度が学問的には必要です。
安部和正:なら聞きたい。なぜユーロは自国通貨発行権を放棄してまで誕生したのか?
永井俊哉:通貨統合の目的は、為替リスクをなくすことによるEU域内の経済統合です。それ以外にも各国に思惑があって、ドイツには、通貨安で輸出に有利というメリットがあり、それ以外の国には、ドイツの信用をバックに低金利で融資が受けられるというメリットがあります。ポピュリストがバラマキをしないので、インフレ・リスクと無縁というメリットもあります。
安部和正:だから何を言ってるだ?自国通貨発行権を持つ国は財政破綻しないのがMMT理論だろ。どんなメリットの屁理屈つけても財政破綻すれば全くの無意味だろ。お前の理論ならインフレリスクゼロを唄うべきだろ。MMTで財政破綻しないなんてどの口で言ってるんだ。やっぱりお前はぺてん師。国民を舐めんなよ。お前より多くの日本人が気づいてるお前がぺてん師だとね。
永井俊哉:「お前」とは誰のことですか。私はそのようなことは一切言っていません。もしかすると、安部和正さんは、私をそうした通俗的MMTの支持者と勘違いしているのではないですか。
安部和正:ふざけるな。論点をすり替えするな。自国通貨発行権を持つ国は財政破綻しないというのがMMT論者の主張だろ。なら何故財政破綻のリスクを負いながら自国通貨発行権を放棄してまでユーロが誕生したのか説明しろよ。説明出来ないから論点のすり替えしてるんだろ。ちゃんと説明しろ。最低限れいわの大石が理解出来る説明をしろ。れいわの党公約で有りながら理解しておらず竹山如きに論破される大石にもな。
永井俊哉:現代貨幣理論の財政論(アバ・ラーナーの機能的財政論)は、過度なインフレにならない限り、自国通貨を発行できる政府は、財政赤字を拡大して国債を発行してよいというもので、発行できる国債残高はインフレ率によって制約を受けます。決していくらでも国債を発行できるということはありません。インフレにするということは、通貨保有者からインフレ税を徴収するのと同じですから、シニョレッジは、フリー・ランチではないのです。ヨーロッパには、過去に君主がシニョレッジ目当てに貨幣を乱発して、インフレに苦しんだ過去があるので、その反省から、ヨーロッパ人たちは、過度なインフレをもたらしかねない制度に対して警戒を抱いています。ユーロの誕生は、そうしたヨーロッパ人のインフレ恐怖症で説明できます。
kll:難しいですが、市場を元気にするためには政府支出が有効であると考えています。
債権が意味をなすためには、債務者に資力がなければならない。債権者は債務者に依存している。
お金が債務だとしたら、返済されないことがお金を維持することになります。返済されると債権者の権利が消滅します。まぁ、ここは一般には新たな債権(債務)を得るわけですが??
銀行預金などは典型で、返済されない債務ですね。その返済されない状態がずっと続いている。
預金は日銀券引換権なわけですが、1400兆円という民間の預金に対して、100兆円と少ししか日銀は日銀券を発行していません。取り付け騒ぎがあると銀行は潰れるということが言われますが、まさに日銀券を預かっていますと銀行は契約上述べているわけですが、この世にはそんなにたくさんの日銀券がないわけです。
このあたりから債権者は返済を求めていないとも思われます。預金そのものがお金なのだ!とうことだろうと理解しています。
私は、国債もお金と変わらんと正直考えています。
銀行は預金という自らの負債を返済しようとは思っていません。財務省は国債を返済しようと考えているようですが・・・・
その理由は財務省の省益というのが通説ではないでしょうか??
もう一つの帰結としてお金が政府の負債だとすると、それを政府が受け取ると債権と債務が混同により消滅します。税金は国の収入ではない、という理屈ですね。
税金とはお金の破壊である、と言えば良いでしょうか。
永井俊哉:なぜ通貨が債券であるのにもかかわらず、すべて償還しなくて良いかといえば、それは、ビデオの中で述べたように、決済サービスを提供する金融商品としての役割があるからです。
kll:なるほど。預金は返済しないままの状態でそのままあるという感じでしょうか・・
永井俊哉:いいえ、債券としての通貨の話です。
kll:日銀券ですか?
しかし、銀行預金も銀行はその負債を解消しようとはしていないと思うのです。
預金はまさに日銀券引換権でありますが、日銀券それ自体も日銀券引換権です。
結局同じで、用途に従って決済しているというイメージです。
ラーメン屋では現金、もちろん最近はPASMOとかでもできますが・・・
1億円の不動産取引は預金みたいな・・
永井俊哉:返済や償還といっても最後は通貨という債券でなされるに過ぎないですから。
kll:ちょっと分からないですが、最終的には日銀券引換権で決済する。残るのは日銀の負債であったり民間銀行の負債だと?
負債はどこまでも残るというか・・・
なくなる場合がその負債の主体に戻ったとき。
銀行への預金を通じた返済とか、税金で国に返済するときとか・・・そんな理解なのですが・・
永井俊哉:銀行は、自主廃業を決める時以外は、預金通貨をゼロにすることはしません。
kll:というか我々も求めていないと言えるでしょうか。
だから負債は負債のまま返済されずにそのまま残るという感じです。それこそがお金なんだ、と。銀行には返済能力もないです。債務者に信用があるのかないのかよく分かりません。銀行自身がみんなが引き出しに来たら大変だ、潰れると明言します。
不思議な債務です。
kll:もう20年ほど前から、構造改革は供給サイドの改革で、需要喚起についてはどうなんだ?という議論はありましたね。
中野さんが言っているのは、供給サイドに偏った改革ってどうなの?という問題提起だという理解です。
供給力が増せばお金が必要になるわけですが(逆にお金を創造できるという言い方でも良いですが・・)、それをせずに需要不足に陥り、せっかくの供給サイドの改革も意味をなくすという・・・
そんな悪循環を断てるのでは?という見解と理解しています。
永井俊哉:需要を増やすには、バブル崩壊後低迷している所得を増やさなければいけません。そして所得を増やすには、たんにリフレ政策を実行するだけでは不十分で、構造改革(特に解雇規制の緩和)が必要です。これまで構造改革をやってきたと思うかもしれませんが、解雇規制の緩和は全くの手付かずの状態です。
kll:昔、バランスシート不況という話しをテレビでしていたのを覚えています。
バブル崩壊後の民間の負債を何とかしようという・・・返済に躍起になっている。
その時は国が援助していた部分があるわけですが、小渕恵三首相とか・・・
今は国が返済に躍起になっている。
大蔵省はずっと赤字国債というのを良くないという考えでやってきていて、それでうまくいっていたと思われるのです。国力が増したという意味です。生活もよくなったのでしょう。
ところがその発想が今では通じないのではないか。財務省が今までどおりやっていたらダメなのではないか??
最近、成田悠輔先生という方がよくyoutubeで出ていますが、ZOZOTOWNの話をしてまして、ある販売方法によって結果が出る、つまり売り上げに反映されていると評価できる状況があると、それが正しいとなるわけです。どのような年齢、生活スタイル、いろんな顧客の属性から最適と思われる洋服を提示することで売り上げがどうなるか?という問題です。
政治でも同じように結果が問われる。平成の30年が失われた時代と評価されているとすれば何らかの問題があるのだろうと考えるわけです。もちろんデフレ的傾向があってもそれは悪くないという学者さんもいますが・・
お金をまわして経済成長しなければならない、他方で国の負債を返済(お金を破壊)しなければならない・・・
増税して国民の購買力を奪い、他方で消費を促す・・・ どっちなんだ??
ズボンをはきながらパンツを脱ぐというイメージですね。
解雇規制の緩和ですが、これは私の実感ですが、裁判所が反対の方向にすごく力を入れていますね。労働部にはこれぞという裁判官が配置されています。
労働者の権利は迅速に守る、という国是を反映していると言いましょうか。他方で、効率性重視の観点から非正規雇用を云々の議論もあります。
本当に発想のある運の良い人には100億円の報酬を、単純労働は月20万円・・・・
ホリエモンがすごいとは誰も思わないのですが、そんな人がヒルズ族でフェラーリを乗り回す。他方で、多くの人が無能と評価され賃金が伸びない。それにより需要が減る。
最近思いますが、商品も良いのです。車も壊れません。新しく買う必要もない。
tanza:大きな政府、小さな政府、それを分ける客観的・数量的基準を教えてください。
もし、その大小に関わらず生産性が大事なら、生産性とMMTの関連について論じて下さるとありがたい。
永井俊哉:大きな政府か小さな政府かは相対的な区別ですが、量的には、財政支出の対GDP比率の大きさで計測できます。質的には、公共財(非排除性あるいは非競合性のある商品)の提供以外の、つまり、民間でできる仕事まで政府がやっているかどうかで判断できます。民間でできる仕事まで政府がやればやるほど、一国の生産性は低下します。MMT(少なくとも、本場米国でのMMT)は、雇用保障のため、全ての失業者に政府が仕事を与えることを政策として掲げていますが、そうした社会主義的な政策、生産性を下げることになります。
tanza :返信ありがとうございます。
ところで、この「財政支出の対GDP比率」は分母に財政支出を含んでいるから、単純な線形現象ではないですね。
適切な財政支出により、民間投資を刺激・経済成長(GDPに寄与)したりする。また逆に、財政支出が極端に大きくなると、これだけでこの比の値が100%に近づいてしまう。
永井俊哉:政府の財政支出には、民間の投資や消費の呼び水になる乗数効果があるはずなのですが、近年、乗数が低下しつつあります。
tanza :それは、まさに適切な財政支出をしていないから。
市場を活性化するためには、以下のような手段が挙げられる。
インフラの整備、研究開発、人材の育成、国防、石油代替エネルギーの開発や食料生産の拡大等々、大規模で長期的で計画的な公共投資、ほか民間投資に対する各種の助成や支援が必要になる。
永井俊哉:ワイズ・スペンディングは、言うは易く行うは難し。
シカゴ1893:すばらしい内容ありがとうございます。
当たり前のことのかもしれませんが、財政赤字が正当化できるのは安定して税収が見込める場合だけだと思います。そのためには政府の課税先である市場が元気でないといけません。生産性抑制政策は市場を傷つけることによって政府の信用を傷つけてしまいます。もし生産性抑制論者が政権をとったら、その途端に債権市場や格付け会社から下落というフィードバックが働くと思います。
永井俊哉:そこは、日本の有権者の良識に期待したいところです。
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