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なぜ今メルマガが再評価されているのか【永井俊哉ニューズレター】

ニューズレター発行人の永井俊哉です。
私が最初にメルマガを発行したのは、1999年9月のことです。メルマガの最盛期は、2002年頃で、当時私は10社の発行機関(まぐまぐ, melma!, pubzine, Emag, メル天, カプライト, CoCo, メロン, Macky, Tiara)からメルマガを発行していました。しかし、メルマガ人気はその後凋落し、発行機関も次々にサービス停止に追い込まれました。2020年3月13日には、業界二位だった melma! までがサービス終了となり、私が使用しているメルマガ発行機関はまぐまぐだけになってしまいました。2001年に小泉内閣が創刊した首相官邸メールマガジンも、2021年9月13日を最後に発行が停止となり、日本では、メルマガは時代遅れのメディアであると思われています。私も、最近まではそう思っていたのですが、海外では、逆にメールマガジンが人気を集めるようになりました。
メールマガジンは和製英語で、海外ではニューズレターと呼ばれていますが、コンセプトは同じです。昨今のサブスクリプション・ブームに乗って、有料ニューズレターの購読が流行しています。ニューズレター配信サービスの最大手は、2017年創業の Substack ですが、2021年1月に、Twitter がオランダ発のニューズレター配信企業、Revue を買収し、6月からは、Facebook が独自のニューズレター配信プラットフォーム、Facebook Bulletin を立ち上げるなど、ニューズレターは、海外IT業界の新たなトレンドとなりつつあります。
スマートニュース執行役員の藤村厚夫は、海外でのニューズレターのブームを「メルマガ・ルネサンス」と呼び、その理由を「定期的に読者の受信箱に届くメルマガは、読者の閲覧を習慣化するのにぴったりで、忙しい現代の消費者にメリットがある」と説明していますが、同じことは、日本の従来型メルマガについても言えることで、なぜ海外で「メルマガ・ルネサンス」が起きているかの説明になっていません。サブスクリプション・ブームの背後に広告依存のメディア運営を見直そうとする業界のトレンドがあることは確かですが、クリエイターたちがニューズレター発行を重視するのには、別の理由があると思います。
それは、プラットフォームに依存しない流通経路の確保です。クリエイターが、Facebook, Instagram, Twitter, YouTube でどれだけたくさんのフォロワーを獲得しても、プラットフォーム運営者がサービスを停止したり、アカウントを凍結したりする途端、クリエイターはコンテンツ消費者との接点を失ってしまいます。これに対して、Substack や Revue の場合、クリエイターは、集めたメールアドレスのリストにアクセスできるので、プラットフォーム運営者がサービスを停止しても、メールアドレスのリストを持ち出して、直接あるいは別のプラットフォームを使って配信を続けることができます。クリエイターがメールアドレスを持ち出すことができないまぐまぐなど日本の従来型メルマガ発行機関とはこの点で大きく違います。日本と海外とで「メルマガ・ルネサンス」に温度差があるのは、この違いが原因でしょう。
プラットフォームに依存しない個人メディアとしてかつて主流だったのはブログでした。独自ドメインを取得して、自分でサーバーに WordPress をインストールすれば、第三者によって勝手に発言の場を奪われることがないオウンド・メディアを誰でも所有できます。しかし、ブログはプル型であって、プッシュ型ではありません。RSSフィードを使えば、プッシュ型になりますが、今日、RSSフィードを使ってブログを読んでいる人は少数です。これに対して、電子メールは、2019年現在、日本人の8割近くが利用しているので、このインフラを使うメルマガの方がプッシュ型としては有利です。
それでも、かつてブログがメルマガよりも個人メディアとして好まれていたのは、プル型としては優れていたからです。内容が良ければ、検索エンジン経由で個人ブログにも多くのアクセスがありました。しかし、近年、個人ブログからプル型としての優位性が失われるようになりました。検索エンジンでシェア90%以上を誇る Google が、YMYL(Your Money or Your Life 人々の幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える可能性のあるページ)を中心に E-A-T(Expertise 専門性, Authoritativeness 権威性, Trust Worthiness 信頼性)を重視するアルゴリズムを採用するようになったからです。その結果、検索結果の上位を、有名企業、公的機関、大学など、運営者に権威があるドメインのページが占めるようになり、そこに個人ブログが入ることが難しくなりました。個人ブログの流行が下火になった背景には、こうしたアルゴリズムの変更があります。
本来、消費者がどのコンテンツを選ぶかは、消費者が自分の判断で決めるべきで、第三者が勝手にコンテンツの流通経路を遮断すべきではありません。この点で、ニューズレターは理想的なメディアの形式なのです。もとより、各メディアにはそれぞれ一長一短があります。Facebook, Instagram, Twitter, YouTube といったソーシャル・メディアには、プラットフォーム依存のリスクがある一方で、個人の情報発信の場としては依然として有効で、かつ集客力が優れています。ブログのようなオウンド・メディアには、集客力で劣るというデメリットがある一方で、過去のコンテンツを長期にわたって保存するのに向いているというメリットがあります。それゆえ、私としては、ブログやソーシャル・メディアも続けつつ、それと並んで、ニューズレターの配信も行いたいと思います。
私は、既に、Twitter による配信も行っていることから、ニューズレターのプラットフォームとして、Twitter との親和性が高い Revue を使うことにします。

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永井俊哉

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