そもそも 2 年ほど前に RMS が FSF を(半ば強制される形で)辞任したニュースさえ日本ではほとんど話題になっていなかったと思います。なので、このニュースが意味するところを知らない人がほとんどではないでしょうか。ソフトウェア業界に限ってもこの件に着目している人は少数でしょう。少なくとも同僚でこの件に興味を持っている人は居ません。
自分は RMS の復帰を認める/認めないについて意見を持てるほど RMS の功績や言動について詳しくはないのでそこについてはコメントをしません。
しかしどうにも引っかかるニュースです。うまく言語化できませんが、最近 Code of Conduct とかが存在するのが当たり前になっていて「かような人はこのコミュニティでは受け入れません」とか明文化されています。一方でどんな人であっても受け入れる、というのも自由なソフトウェアの開発コミュニティにおいては重要な要素です。OSS ライセンスではユーザーや開発に参加する人を制限しない、というのが極めて重要な要件なわけで。
ひとりの開発者として自由なソフトウェアの開発に携わることと、ソフトウェアコミュニティを主導する立場は確かに別物だし、そこに求められる素質や人格は全く別物なのかもしれません。ですが、いくらコミュニティを主導する立場の人間に対しての意見だとしても、多様性を標榜する人たちが、特定の価値観を持った人を公然と追放しようとするというのはなんだか気持ちが悪いなと横から見ていて思います。
今回 RMS が FSF の代表(プレジデント)に復帰したのであればこのハレーションもわからないではないのですが、あくまで理事の一員ですし。
とはいえ、何が正しいかなんてわからない類の問題ですし本人に再度の辞任の意思はない以上、Red Hat 等の団体の経済制裁的なものが続いた状態で FSF は運営されていくのかなという気はします。