Mr.Chlidren の SENSE というアルバムをこの間、何年ぶりかわからないくらい久しぶりに聴いていました。
このアルバムにはとても思い入れがあって、2010 年の 12 月といえば僕は高校 2 年生でした。朝起きてみていためざましテレビでアルバムの発売を知り心底驚いたのを覚えています。
アルバムの内容も印象深いものでした。同年に公開されたドキュメンタリー 映画『Split The Difference』で公開されていた 『Forever』 や、ONE PIECE の劇場版主題歌になった 『fanfare』、CM ソングにも起用された『365 日』をはじめとして、『ロックンロールは生きている』、『Prelude』などのアルバム曲も素晴らしく、コンセプトアルバムの『深海』を思い起こさせるような作品だと思います。
このアルバムの発売の後に東日本大震災が起き、僕は高校 3 年生になって受験勉強の世界に足を踏み入れました。大学受験だけでなく、日本の将来への漠然とした不安はつきまとい、僕の地元では輸出産業が主体なので円高の影響を受けていました(これが理由でわたしは今も当時の民主党政権を許せていません)。工場が止まり流通が減り、町全体が静かになっていたのをふとした拍子に今も思い出します。
他にも書き出すとキリがないのですが、とにかく、たった一枚のアルバム、たった一曲でそのときの情景が色鮮やかに蘇ります。もう 10 年も前のことなのに。
もし音楽がなかったら?
そしてふと、こんなことを思いました: 僕の人生に音楽がなかったら、どうなっていたんだろう。
僕の人生には音楽が常にありました。だからこそ音楽を聴くと色々なことを思い出します。楽しかったこと、嫌だったこと、悲しかったこと、好きだったこと。あらゆる記憶は音楽をトリガーにして思い出すことが多いです。
音楽がない人生だったら。音楽以外の何かを見つけられたでしょうか。音楽以外に、ここまで鮮明に自分の人生を閉じ込められる装置があるでしょうか。
他に思いつく候補は匂いくらいしかありません。
ライブに行ってきた
そんな折、TK from 凛として時雨のライブに先週の土曜日に行ってきました。10 周年記念のライブとのことだったんですが、デビュー当時の曲から新曲まで、彩り豊かなライブだったと思います。
音楽自体の鋭利さ、鮮烈さに加えて自分の中にまたひとつ、記憶が積み重なった感覚がありました。
一枚のアルバムに、一曲に、その一瞬にさまざまな記憶が重ねられ、圧縮される。曲を聞けば圧縮された記憶が展開されて鮮やかに蘇る。それが音楽の力だし、呪いでもあると思います。
さて、ライブという、そんな特別な一瞬を、みんなで共有できる。そんな営みが少しずつですが復活しつつあります。嬉しいことです。このままうまく物事が進んでいけばいいなと素朴に思っています。